【高速バスのトラブル】1999.7 盛岡から夜行バスで東京へ向かう途中、バスは突然止まった。旅にトラブルはつきもの。「お客様、大変申し訳ありません。バッテリー切れしました。全員2号車に移ってください。」「ええっ!」みんなで移動すると、自分の座席がない。「1人あまったでしょ、そうなんです。今どうにかしますから。」「あ、はい…。」数分遅れてやってきた八戸ー東京間のバスに空きがあり、座らせてもらう。
【羽田空港でトラブル】国際線は成田空港と考えるのが一般的。でも、中華航空のように、羽田発の国際線もある。でも、国際線と国内線の建物は別々だという。「お客様、国際線は、ちょっと離れているところございまして…。」「ええっ!」時間は間に合うかな。行き方を調べている時間もない。あわててタクシーに乗る。
【機内でトラブル】何とか出発に間に合って、中華航空107便は離陸した。無事に出発したと思いきや、今度は乱気流に巻き込まれる。3回も急降下して、「きゃー。」と女性の叫び声がひびく。シートベルトをしていないと、天井に頭をぶつけるかもしれない。40分遅れの12:20、無事に台北に到着。次の乗り継ぎ便は12:30発だから、あと10分しかない?と心配したけど大丈夫。台湾の時刻は1時間の時差があり、今は11:20ということなのだ。乗務員の人たちは中正国際空港のことを蒋介石国際空港と言う。
【バンコク到着】15:20(タイ時刻)予定通り、バンコク(曼谷)国際空港に到着。空港内の銀行で20,000円をタイ・バーツに両替。
※1バーツ=3.23円
エアポートバス(70バーツ)で市の中心部、カオサンロードへ。高速道路の高架橋を通ってあっという間に大都市バンコクの中心につく。カオサンロードはどこなのかさっぱり。早速スコールの雨が降り出した。「いや~、始まったよ。泊まるところも決まっていないのに。」しばらくアーケードの下で雨宿り。タイの人たちは傘を持って歩かない。しばらくすればやむさっ感じ。
どしゃぶりの勢いで、雨宿りしても濡れてしまった。どうにかしてカオサンロードに着く。CHUST.GHは1泊120B(700円)で安いけど、臭いし、汚いし。宿選びは失敗か。
1Fでご飯を食べる。ホワイトヌードル(トムヤンクン)、スープ、シンハビアで115B(350円)。雨がやんで外に出る。チャオプラヤー川のかかるプラピンクラオ橋の上で涼む。川からの風が気持ちいい。水上ボートが到着して子どもたちがたくさん降りてきた。いい風景。王宮前広場周辺はライトアップされていてとてもきれい。バンコクは歩行者用信号がない。車通りがはげしくても、車の間をすりぬけて横断するのがスリル満点。
【バンコクの朝】4:20に目が覚める。日の出が6時頃なので、まだ真っ暗。通りを人が歩いている気配はない。ベトナムとちがって、タイの朝は遅い。
6:30 行動開始。まだ店は開いていないけれど、屋台が何軒か開いた。あまり食欲がわかないので、セブンイレブンで食べられそうなものを買う。
7:20 親に手をひかれてたくさんの子どもたちが学校に登校してきた。あれ?夏休みじゃないんだ。なんと、ゲストハウスのすぐとなりは小学校だった。とてもにぎやか。でも、みんな親に手をひかれて登校するとは、かなり保護されている感じ。このカオサンロードは外国人が多い地域なので、危険かもしれないから?
【チャオプラヤー川を渡る】バンコクの中心を流れるチャオプラヤー川をテイルボートで渡る。波が荒い。あの有名な暁の寺「ワット・アルン」に到着。たくさんの日本人、台湾人、中国人、韓国人、欧米の外国観光客がいた。たったの2バーツ(7円)で渡し舟に乗って対岸へ。「ワット・ポー」はものすごい人・人・人!涅槃像が納められている殿堂は身動きできないほどの人。奈良・京都の定番コースみたいな感じ。王宮とエメラルド仏陀のある「ワット・プラケオ」も、ものすごい人・人・人!金や銀で飾られた建物や装飾品を見ているだけで、目が疲れる。扇風機の風がとても気持ちいい。
【ユーアーラッキー!】王宮前広場で休んでいると、一人のおじさんが話しかけてくる。「どこから来たの?」「日本です。」「君はラッキーだ!ラッキー仏陀を見た方がいい!昨日と今日の2日間しか開いていないんだ。それから、カシミヤスーツ展は行った?」「いいえ。」「オー、ユーアーラッキー!」
やがて、別のおじさんが話しかけてくる。「え、まだラッキー仏陀を見ていない?あと1時間でしまっちゃう!それから、タイランドファクトリーのカシミヤスーツ展に行ったかな。7日間しかやっていないんだ。おれも昨日1着買ったぞ。すごく安いんだぞ。」この人は目の前にあるタマサート大学の先生だという。今、白いトゥクトゥクをつかまえてあげるから乗りなさい。ユーアーラッキー!」白は政府公認のトゥクトゥクで安いけれど、黄色のトゥクトゥクはトラブルが多いそうだ。「タウライ(いくら)」「40B」「ペングパーイ(高い)」「20B」「OK、おじさんありがとう。」「楽しんでなあ。バイバイ。」
まず、ラッキー仏陀に到着。オレンジ色の僧衣をまとった青年たちが建物の中で休んでいた。一人の青年が話しかけてきた。「仏教徒ですか?」「ええ、まあ、そうです。」「おー、ユーアーラッキー。さあ、私と一緒に拝みましょう。」手を合わせて、頭を地面につけ、3回繰り返す。
買うつもりはないけれどカシミヤスーツ展も行く。片言の日本語も話せるお姉さんが案内をする。カシミヤのスーツってそんなにいいのかな。「ごめんなさい、今日は見るだけにします。」「おー、何で買わない?税金がかからないんだよ!1年で今しか割引していないよ!日本でスーツをオーダーメイトすると高いでしょ!タイは安い!なぜ買わない?」お買い上げリストを見せてもらうとたくさんの日本人の名前も書いてある。へえ、そんなに人気があるんだ…。でも、買わない。
【屋台のタイカレー】カオサンに戻り、屋台で食べたカレーは20B(約60円)と安いんだけど、超からい!口直しにセブンイレブンに入ってアイスキャンディを買い、ファンタメロンを買って飲む。疲れた。昼寝をする。16:00 隣の小学校から大きな音がして目が覚める。何かフェスティバルでも近いのか、合奏を練習する音がものすごく大きい!夏休みじゃないのかな。
【ニンニクの風味が豊か】17:00 1Fの食堂でカオパッ(炒めたごはん)を食べる。ニンニクの風味がきいてこれはおいしい!
【熱狂のムエタイ】ラーチャダムヌーン・スタジアムまで歩く。2階席を買う。440B(1300円)最初はがらがらだった客席もだんだんうまってきて、やがて、2階席と3階席は地元タイ人でいっぱいになり、賭けが始まった。「サームローイ(300B)!」「スィーローイ(400B)」だんだん座っていられなくなり、みんな総立ちとなる。タイのムエタイ選手はスリムで筋肉質ですごくかっこいい!毎日ラーチャダムヌーン・スタジアムでは試合が行われる。男のスポーツだけど、痛そう。たいだいは判定勝負になるけど、KO負けで担架に乗せられていく選手も2人いた。後半になるにつれて場内はさらに熱くなる。「チェッローイ(700B)!」「ペッローイ(800B)!」お~そんなに高いお金を賭けていいのかあ?自分が応援する選手の膝蹴りが決まるたびに「イーッ!」「ホーゥ!」と観客の掛け声が場内に響く。
【味のないソーダ】朝食をとるためにカオサンを歩く。レストランでオムレツとソーダを注文。ソーダとは日本とちがって砂糖なし、味のないただの炭酸水。セブンイレブンに行ってファンタグレープを買って口直し。タイに来たらダイエットをすると決めていたけれど、結局ジュースをがぶのみ。
【長距離バス乗り場へ】バックパックを背負い、タイ北部へ向かうバス乗り場(モーチット2)を探し歩く。やさしい御婦人が声をかけてきた。「どこに行くのですか?」「チェンラーイやスコータイに行くので、北バスターミナルに行きたいです。」「それならNo.39 No.44 No.59のバスがいいわよ。」「コープクンクラップ(ありがとう)。」「マイペンライ(どういたしまして)。」にこっと笑って婦人は去っていった。ちょうどNo.44のバスが来た。女性車掌さんにガイドブックを見せながら「モーチット2に着いたら教えてほしい。」とたのむ。しばらくすると、有名なバンコクの朝の大渋滞につかまった。なかなかバスが動かなくなった。
バスはモーチット2の「近く」に着いたらしいけど、どうやらここから少し離れているようだ。モノレールも完成しつつあり、国際空港とバンコク市内を結ぶ予定らしい。いろんな建物があるけれど、どの建物がバスターミナルなんだ?トゥクトゥクのおじさんが話しかけてくる。「モーチット2は遠いよ。おれが連れて行くよ。100Bで。」「ペングパーイ(高い)。」「80Bはどうだ。」「歩いて行くからいいよ。」今度はモトサイ(バイクタクシー)のお兄さんたちが声をかけてくる。「モーチット2まで30Bでどうだ。」「OK」バイクは風を切って走るので気持ちいい。さようなら、バンコク。
【スコータイへの長距離バス】モーチット2(新北バスターミナル)に到着。かなり大きなバスターミナル。英数字は通用しなくなり、タイ数字ばかり。VIPバス230B(700円)を払い、乗り場はあっちだこっちだと教えられながらたどり着く。乗ったバスはエアコンがきくものの、かなり古いバス。真新しい2階建てバスがたくさんあるのに、なぜかスコータイ行きのバスは古いバス。バスが出発すると、ジュースのサービスが出たり、弁当のサービスが出たりしたのはうれしい。疲れてうとうと眠ってしまった。
時々、女性車掌さんが起こしてジュースをくれる。「コープクンクラップ(ありがとう)」まわりを見渡すと大都市バンコクの姿はなく、ただひたすら田園地帯が広がる。見慣れた風景に近いけれど、日本とちがうのは、田んぼの真ん中にヤシの木など南国の植物が生えていることだ。トイレ休憩があって小さな町に立ち寄る。英語は通じない。道路標識も町の看板もすべてがタイ語。どこを通っているのか分からなくなった。いつも16:00になると雨が降るけれど、お決まりの時間、やはり雨が降り出した。バスの中で良かったあ。タイの赤土が、赤い泥土に変わる。
【ロータスビレッジ】17:00 長い長い移動が終わり、ようやくスコータイに到着。サムローという乗り物に乗ってお目当てのロータスビレッジに到着。240B(700円)で2泊することに決める。まわりは池が広がり、ハスの花やバンガローが点在するきれいなところ。静かで落ちつける。1つのバンガローに部屋は4つ。トイレとシャワーは共同。さっそくシャワーを浴びて一休み。その間、再び強い雨の時間となる。
【ROM PHOU】雨がやみ、夕ご飯を食べにいく。スコータイの町はそんなに大きくない。歩いて中心部を回れる。レストランROM PHOUの呼び込みのお姉さんが「ごはんを食べない?」と声をかけてくる。メニューが英語で表記されていた。ありがたい。「シンハビア、トムヤンファー(きのこのトムヤンスープ)、カオパッ、プリーズ。」カオパッはガーリックが入っていておいしい!
【スコータイの夜】町のあちこちに屋台があふれ、路上では市場が成り立つ。子どももバイクに乗っている!バンコクをぬけだして本当によかった。この町がとても気に入った。ロータスビレッジの部屋に戻る。涼しい風が入ってきた。長袖も一応持ってきてよかった。隣のアメリカ人が雨戸を閉めようとしてなかなか閉められず、ガタガタぎいぎいとうるさい。
【スコータイの朝】4:00 雨の音で目が覚める。6:00 幸運にも雨がやむ。すると家から蛙の声が一斉に鳴り響いた!どこからか朝食のガーリックのにおいが広がってきた!メインロッジに行く。「サワーディークラップ(おはようございます)。」「サワーディカー。」手を合わせて合掌(ワイ)する。タイの女性のスマイルはとてもいい。「よく眠れた?(にこっ)」「雨の音が大きかったよ。」「そうね、すごい雨だったね。(にこっ)」
【スコータイ遺跡公園】お寺でお参りをして、ソンテウ乗り場に行く。「ムアンカウ(OLD CITY)?」「OK、Come on」ある程度、人が集まってからソンテウは出発。スコータイ中心部より15kmくらい離れたところにスコータイ遺跡はある。
レンタルサイクルの店のおばさんが「ここで自転車を借りたい人はどうぞ。」と勧誘する。1日乗り放題で20B(60円)、ママチャリとマウンテンバイクがある。店の人はめんどうくさがって取り出しやすいママチャリを貸し出した。
緑が豊かで、遺跡公園は美しい。広い。芝生が広がる。ブーゲンビリアの花、池や掘にはハスの花がさく。日本には京都や地方都市には小京都と呼ばれる街ががけれど、ここスコータイのHistory Park(遺跡公園)はそんな落ちつきのあるところ。あちこちに点在する遺跡。12世紀から13世紀にかけて、日本でいうところの鎌倉時代あたりの遺跡が長い間大切に守られてきた。
日本人女性に会う。こんな女性が一人でアジアを旅するとは。彼女はかなり長い時間旅をしているらしい。「タイはやっぱりお金があるのよね。遺跡を修復する力があるものね。それに比べたら、まわりの国はそうはいかないわ。最近、ようやくカンボジアのアンコールワットも修復が進められてきたけれど、1か所工事をしているうちに別の1か所がぼろぼろに崩れて追いつかないのよ。タイは食べ物もいいし、緑が豊かでとってもいい国ね。」ユネスコの世界遺産に登録されているだけあって、本当にいいところだ。仏陀の後ろに山がすわり、その山の上が白い雲にかくれているあたりがいい風景。昼が近づいてくると、外国人観光客や地元の親子連れが多くなってきた。
【タイの子ども】ベトナムの子どもたちは人懐っこく寄ってくるのに対して、タイの子どもたちはシャイだ。でも、こちらからサワッディークラップとあいさつをすると、にこっと笑いながら、照れくさそうにあいさつを返してくれる。遺跡公園で、タイの子どもたちが絵をかいていた。「上手だね、見せて。」「見ないで。はずかしい。」
【城壁の北側にて】緑が広がってますます美しい。草木のにおいがいい。牛が放牧されている。クリーム色の牛たち。ハスの花がさく池の前で4人の子どもたちが網をもって遊びにきていた。「何をしているの?」「魚をとっているんだ。」「つかまえたら食べるの?」「食べない、食べない。(にこっ)」
【城壁の西側にて】自転車をこいで料金所をすぎ、遺跡公園の西側に来た。広い森林地帯、小石が敷き詰められた美しい道路。あちこちに点在する遺跡。ガイドブックには、西側は人通りが少なく、一人では行動せずにグループ行動した方がいいと書いてある。何とか城壁の内側にもどれるだろうと思った時だった。突然大きな野良犬が走ってきてかみつこうとして接近してきた。「オー、ノー!ノー!」(何で野良犬に向かって英語で話しているんだ?)とにかく必死に逃げる。足元30cmの近さまでせまってきたけど、何とか振り切って逃げた。タイは野良犬も多く、かまれたら狂犬病になる可能性も高い。
【スコータイの夜】ロータスビレッジにもどる。夜、雨がやむと蛙が行動開始の時間。ドボンドボンと池にとびこむ音が大きい。聞いたことがない生き物の声も聞こえる。バンガローは窓が開きっぱなし。風が入ってきて、けっこう涼しい。毛布もなく、厚めのトレーナーを着て寝る。聞いた話では、このへんの子どもたちは3月中旬~6月中旬が夏休みで、7~8月はそれほど暑いわけじゃないらしい。
【スコータイからチェンラーイへ移動】6:00 ニンニクのいいにおいがしてきて目が覚める。タイ料理と言えばトムヤンクンなどのすっぱい料理やタイカレーのように辛い料理が有名だけど、ニンニクを使った料理も多いことがわかった。ナンプラーを基本的な調味料にするけれど、濃さを自分で調節できる。とにかく、朝から充満するニンニクのにおいが大好きになった。
ロータスビレッジをチェックアウト。9:00 チェンラーイ行きのバスに乗る。このバスが本当にチェンラーイ行きのバスなのか心配だったけど、おじさんが「いいんだよ、チェンラーイ行きのバスなんだよ。」と親切に教えてくれた。料金は171バーツ。12:20 ウタラディエットの町を過ぎ、プレーの町でバスが止まる。おじさんが「さあ、飯だ、飯だ!」とジェスチャーする。ごはんにゆで卵と鶏肉をかけて食べる。これで20バーツ(60円)。再びバスは走り続ける。広い広い田園地帯であったが、だんだん山の中に入っていった。かなり上り坂が続いて標高が高くなっていく。手で雲がとれそうなくらいになってきた。
【タイ北部・チェンラーイに到着】17:00 ようやくタイ北部の町、チェンラーイに到着。北海道の稚内に来たような感覚。Jetyod.rdにあるレストランでおじさんがよびこみをしている。「タイフード、たくさんあるよ。」いろんなメニューが写真で表示されてわかりやすい。「魚の料理を食べたいんだけど。」「OK,魚料理はこれはいかがですか、お客様。」「何、これ?」「スネークフィッシュと言いまして、一度魚を丸ごと焼き上げ、それとスープ、野菜を入れて煮込むのです、お客様。」120Bで安い。プラーチョンペーサーという料理は、魚の形をした鍋に一匹まるごと雷魚を入れて、熟したタマリンドなどをベースにしたスープで煮たもの。「最高だね!」「そうでしょう。この料理、この店の雰囲気。そして、この私のおもてなし。」(ぷっ、よく言うよ!)
【ナイトバザール】チェンラーイの夜はナイトバザールでにぎわう。日本で言うと毎日が夏祭りで出店が出ている感じ。地元の若いカップル、欧米人の観光客でにぎわう。少数民族の人たちが伝統工芸品を売っているけれど、そんなに買いたいと思うようなものではなかった。明日はタイ北部に来たのだから山でトレッキングかなと思っていたけれど、雨季で毎日雨が降って大変そうだから、やっぱりやめておこう。
【チェンセーンへ移動】1階の食堂でrice soup with pork を食べる。ナンプラー、レモン酢、砂糖、唐辛子を自分で好きな分だけ入れて味付けする。とってもおいしい!「パーサータイアローマロイ(タイ料理はおしいです)」8:30 バスターミナルからチェンセーン行きのバスに乗る。ローカルバスで90分の旅が終わって、さらにタイ北部の小さな町、チェンセーンに着く。しばらく歩くと、メコン川にたどりついた。ラオス、ミャンマー、中国雲南省を行き来する船がある。ほかに、観光客用のボート乗り場がある。1時間で500Bか、高いなあ。交渉しても値段は決まっているのだからと言って負けてくれない。別の旅行代理店に入ってみる。「メコンクルーズ、タウライ(いくら)?」「1時間で600B、2時間で900B、3時間で1100Bだよ。2時間コースから3時間コースをおすすめするよ。ラオスにもノービザで上陸できるよ。」「うーん、今日はそんなにお金を持っていないんだよねえ。」
【ゴールデントライアングル】よし、こうなったらまた自転車を借りよう。半日でレンタサイクル50B(150円)とお手頃価格なのだ。まず、クイッテイアウ(米麺)を食べて腹ごしらえ。そして、マウンテンバイクに乗って片道10km、メコン川沿いの道路を走って、ゴールデントライアングルに到着。時折雨がぱらついたけれどサバーイサバーイ(気持ちいい)。
ここはタイ、ラオス、ミャンマーの国境地帯だ。このメコン川をもう少しさかのぼれば中国雲南省にも行ける秘境の地だ。かやぶき屋根のお土産屋が数100mも並んで、少数民族の衣装が飾られている。韓国、台湾、中国の団体バスも止まっている。南国風のバンガローのレストランに入って眺めのいい席に座り、フルーツをたのんだけれど、残念ながらそんなにおいしくはない。もさもさして歯ざわりがよくない。日本のよく冷えたスイカやメロンを食べさせてあげたいな。ウエイトレスのお姉さんは少数民族の衣装をまとっている。「このあたりに住んでいるの?」「ミャンマーからよ。」「顔の表面には金箔のようなものを薄く塗っているけど、それは金箔?」「ううん。屋根に塗るものよ。これを塗ると暑くないのよ。」「へえ。」
【30分だけラオス入国】しばらくメコン川沿いでただずむと、ボート乗り場のおじさんが声をかけてきた。「すぐ向こうの山はラオスだ。ボートに乗らないか?30分で300Bだ。」300Bか、まあ、ここまで来たんだから、ラオスに行ってみるか。ライフジャケットを着て、テイルボートに乗り込む。エンジンがかかり、ジェットコースターのようにものすごいスピードでメコン川を北上する。左の岸はミャンマーで、ピンクと黒の衣装をまとった少数民族の子どもたちが手を振っているのが見えた。そして、川を渡り、右の岸、ラオスに上陸した。上陸するためにさらに20B払う。5軒あるお土産屋さんをのぞく。ラオスの文字がかかれたTシャツや、ラオスの民族が生活する様子は風景がえがかれた絵葉書などがあったけれど、そんな買いたいと思うようなものではない。
【4カ国の旗】自転車でチェンセーンの町に戻る。ベトナムに比べたら、メコン川は静かに流れている。行き交うボートも少ない。だけど、ここでは中国、ミャンマー、ラオス、タイの4カ国の旗をつけた船が時々行き交うゴールデン・トライアングル。川岸には何台も大型トラックが止まっていて、船に荷を積んでいる。ぼろい船がいかにも密航船のような雰囲気を出している。昔からここは大麻などの栽培がさかんで、薬などを密売することが行われていることから「ゴールデン」なのだ。
【チェンラーイへ戻る】チェンラーイに戻るバスが来ない。たまにバスが通っても回送するだけで「ノーノ―。」と行って通り過ぎていく。仕方なく田園地帯を4km歩く。途中でソンテウが通り過ぎていく。「乗らないか。」と運転手がクラクションを鳴らして声をかけるけれど、そのソンテウがどこに行くのかもわからないし、高校生で超満員だし、中はぎゅうぎゅう詰めで天井にも、入口の外側の手すりにもつかまって高校生が乗っている。そんなのに乗れるか。その時だ。救いの女神が立っていた。「もしかして、ここはバス停ですか。」「そうよ。」「チェンラーイに行きたいんですけど。」「チェンラーイ?もうすぐよ、17:00のバスよ。」10分遅れでバスがやってきた。このバスに乗れなかったら、夜中に片道60kmもあるチェンラーイまで歩くところだった。
しばらくして、バスは急に止まった。そして、拳銃を持った警察官がどかどかと入ってきた!一人一人の荷物検査を始めたのだ。え~なんだ、なんだ?いよいよ自分の番になった。パスポートを見せる。「君はいい。」警察官たちは去っていった。
チェンラーイに無事に戻る。昨日のレストランのおじさんと今日の出来事について話をする。「今、タイでは高校生が覚せい剤などの薬に手をだしていて、ひどいんだよ。」と、おじさんは嘆いていた。
【バンコクポスト】7:40 今日の朝食はBLTのサンドイッチにする。フランスパンにはさんだ具の味付けがタイらしい味付けだけどおいしい!タイの新聞バンコクポストを読む。チャンタブリー(タイ東部)では大洪水らしい。それから、中国と台湾の情勢が緊張している。見出しには「中国は戦争の準備ができている」とある。インドの貧困問題の記事もあった。そして、タイ北部の高校生のドラッグ問題。高校生の使用が多く、チェンマイを中心に警察の取り締まりが始まったと大きく取り上げられている。世界の情勢が大変な中で、日本の記事も載っている。「The oldest living twins in the world Silver & Gold 107th birthday」きんさんとぎんさんが札幌で木を植えたという写真が大きく載っている。
【ミャンマー国境の町】メーサーイまでは90分。隣にオレンジ色の衣装をまとったお坊さんが座る。みんながお坊さんに席を譲るところが信仰心の厚さを思わせる。でも、お坊さんたちって、あまりいい顔つきじゃない。悪ガキって感じの顔ばかり。国境が近づくにつれて、周りの山々はいかにも秘境の地というような形をしている。バスターミナルに着いて、今度はソンテウに乗り換える。「ミャンマーの国境はこのソンテウでいいのかな。」「いいのよ、5Bよ。」隣の高校生の女の子が教えてくれた。国境に来る。けっこうにぎやかな町。チェックポイントに来ると「イミグレーションはここではない。1kmもどれ。パスポートにスタンプを押してもらってこい。」と言われる。えええ!仕方がない。歩いて戻る。
通りはお土産屋さんが並んでいて活気がある。宝石屋がたくさん並んでいる。大理石やヒスイの石でできた彫刻美術品もある。さらに行くと、ワット・ドイワオがあり、階段を上ると手すりには龍の彫刻があってかっこいい!頂上に着くと展望台があり、眼下にはタイ側のメーサーイの町と、ミャンマー側のタチレクの町が見える。国境をたくさんの人が通るのも見える。境目の川は幅が10mくらい。イミグレーションの建物はどこか、いろんな人に聞きながらたどり着く。
パスポートに出国スタンプを押してもらう。けっこう欧米人もいる。屋台でごはんを食べる。チャーシューみたいなものをごはんにのせて食べるのがおいしい!
【ミャンマーに入国】13:00 ようやく国境を通過!川にかかる橋を渡って、イミグレーションで今度はミャンマー入国のスタンプを押してもらう。ミャンマー領タチレクの町もにぎやか。国境を越えたら、いろんなものが違っている。言葉はタイ語ではない。ミャンマー語。着ている服も違う。男も女も腰にロージという布を巻きつけている。
あやしそうな男のトゥクトゥクに乗って寺院に行く。タイでは寺院をワットというが、ミャンマーではパゴダという。タイではお坊さんはオレンジ色の僧衣をまとっているけれど、ミャンマーでは真っ赤な僧衣をまとっている人もいる。ガイドの男がミャンマーの仏教についていろいろ教えてくれる。丘の上のパゴダに行くと、金色の屋根の塔がまぶしい。塔にはたくさんの風鈴がぶらさがっていて、さわやかな風が吹いてチリリリリリリーンと鳴っている。頭を3回ゆかにつけて参拝する。和尚さんが来て話しかけてきた。日本の仏教はどんなところがミャンマーと違うのか語り合う。
【ミャンマーの小学校】お寺の向かいにある小学校、中学校に入る。男の子も女の子もみんな白いTシャツに緑色のロージを巻きつけている。ちょうど休み時間で、みんな外に出て戯れ、ゴムとびをしたり、石ころ当てをして遊んでいる。校庭には屋台が入り込んでいて、買い物をしている子どもたちもいた。ジリリリリリーンとベルが鳴り、みんな教室に入っていった。ちょっと教室の中を見させてもらう。木製の机、日本で言えば大学の講義室みたいな並びだ。まるで昭和40年代か50年代のような光景。
【ミャンマーのマーケット】ミャンマー側のマーケットでも、そんなに買いたいと思うものはない。ワシントン条約に違反しているトラやヒョウの毛皮を売っている店もある。あとは中国製の生活用品や安っぽいおもちゃがあるだけ。日本で言えば昭和50年代くらいのなつかしさがある。
【陽気なおじさん】タイのチェンラーイに戻る。いつものレストランのおじさんが、今日も呼び込みをしている。欧米人のカップルに「ハロー、プリンス&プリンセス!タイ料理はいかが~?お~ナイスなドラムだね!いかすね~!」と、陽気に声をかけている。「明日、チェンラーイを離れることにしたよ。」「そうか、またチェンラーイに来たらよってくれ。」
【スコータイへ戻る】8:00 タイでは国旗が街中に飾られ、ラジオやテレビでは国歌が流れる。日本でもちょうど国歌・国旗の法案が可決しそうな感じだったが、今頃どうなっているだろか。長距離バスでスコータイへ。バスの中ではずっとタイポップスが流れる。ポップスと言ってもバラード曲とか、日本でいうなら演歌みたいな曲が多い。若い人はジャニーズみたいなグループが好きみたい。17:00 気が遠くなるような長い長いバスの旅が終わった。あ~気が狂いそうだった。バンコクに戻るときは飛行機を使おう。スコータイトラベル社に行き、飛行機を予約する。
18:00 ロータスビレッジに到着。「またまた、こんにちは~。」「あれ、どうしたの?」「スコータイが気に入ったからもどってきたよ。ロータスビレッジが一番!」「ははは。」水曜日と木曜日がナイトバザールの日らしい。通りは歩行者天国になって大変なにぎわいだ。チェンラーイのナイトバザールは少数民族のお土産が多かったのに対して、スコータイは生活用品が中心。通りをゾウが歩いて子どもたちはおもしろがってゾウにさわる。コンビニで缶ビールを買い、屋台で焼き鳥を買う。「ロットノイダイマイクラップ(まけてちょうだい)」「きゃははは、まけてちょうだいだって。」タイ独特の肉、野菜、ナンプラーがしみこんだ味付けでジュージューしている。スパイシーだけど甘辛くて最高。
【スコータイの朝】08:00 町のスピーカーからは今日もタイ国歌が流れる。シャワー室で自分の下着を洗濯をする。今日中に乾きますように。どこか近くに小学校があるらしい。バンコクで聞いたような合奏が聞こえてきた。それにしてもかなり音量がでかい。郵便局や銀行、スコータイトラベル社に行く。何だか今日はおなかの調子が悪くて、くだってきた。
【再びスコータイ遺跡公園】遺跡公園に行くソンテウに乗る。「こっちだ、これに乗れ。あれ、なんか見たことある顔だな。」運転手の兄ちゃんが手招きして乗せてくれた。またレンタルサイクルの店に入り、お土産屋に行く。緑色のヒスイの石でできた「ゾウの置き物」を買う。これをずっとほしいなと思っていたのだ。緑豊かな森で休んでいると、小さな男の子が来た。アーン君は6歳、小さな竹製のバックをさげ、首には銅製のペンダントをさげてかわいい。お父さんもやってきた。「サワッディークラップ。」「サワッディークラップ。」「どこから来たの?」「イープン(日本)。」「ああ、ニッポンだね。」お父さんは機関銃のような古式のつり竿を持って釣りをしにいった。その間、アーン君と一緒に遊ぶ。ショルダーバックの中にはY字型のパチンコが入っていた。そして、玉になる石がたくさん入っていた。「すごいなあ。きれいに丸くけずられているね。」「石と石をぶつけて丸く削ったんだよ。」「ちょっと写真撮りたいから。これを持ってポーズを決めて。」ヒューンと玉が飛んでいき、ハスの花がさく池にボトンと落ちた。「あはははは。」どれくらい時間がたっただろうか。釣りを終えたお父さんがむかえにきた。「ラーコーナクラップ(さようなら)。」アーン君は手を合わせて合掌した。
帰り道、セパタクローをする若者たちがいた。バレーボールのように自分のコートにボールを落としてはいけない。でも、手を使ってはいけない。サッカーのようにリフティングをしたり、ヘディングしたり、オーバーヘッドキックでアタックを決めたりする。おそるべしタイランド!
【タイでの最終日】朝はいつも雨だ。天気予報は毎日「cloudy and thunder-shower 」だ。でも、まだいい方なのだ。ニュースでは毎日タイ東部のチャンタブリーの洪水を伝えているし、フィリピンや韓国も洪水があるらしい。8:00 雨がぴたりとやんで、町のスピーカーからタイ国歌が流れる。なんといいタイミングで雨がやむのだろうか。メインストリートはポリスマンが立って交通整理を行っている。
11:00 スコータイトラベル社でミニバスを待つ。「遺跡公園のこのポスター、すごくきれいですね。」「2月のお祭りのポスターよ。特別にライトアップするの。このポスター欲しいなあ。」カウンターのお姉さんはごそごそ探して新しいポスターをくれた。ありがとう!ミニバスに乗ってスコータイ空港に着く。リゾート風のおしゃれな建物。飛行機は小型プロペラ機。乗務員が「アリガトウ。」「コンニチハ。」と日本語であいさつ。バンコク・エアウエイズの飛行機では機内食も出て、眺めもいい。
【バンコク国際空港】ターミナルⅡの中華航空カウンターでチェックイン。出国手続き、そして出発ゲートへ。空港は日本と同じく近代化された世界。持ち合わせのタイバーツを日本円に両替しようと思ったけれど断られる。1000B以上でないと両替しないそうだ。中華航空696便はバンコク国際空港を飛び立った。アメイジング・タイランド、さようなら。
【台湾に到着】約2時間30分のフライトが終わって、台湾に到着。台北駅に着いて地図やガイドブックを見ながらホテルを探す。漢字だらけの世界でさっぱりわからない。漢口街の一楽園大飯店を発見。「予約していません。1泊したいんですけど。」ブスの受付お姉さんが嫌な顔をして「今日は空いていません。」という。23:00 東流大飯店(トンローダイファンテン)に入ると、フロントのおじさんは日本語で話してきた。「1000元ヲ900元にマケテアゲルよ。スペシャルプライスだよ。」「ありがとう!」6階の部屋は豪華で、バスタブがあり、高そうなテレビがある。中国語はさっぱりわからないけれど。漢口街は仙台で言えばサンモール一番町みたいな雰囲気。焼き鳥を買うと、おばさんが日本語でぶっきらぼうに「ナナジュウエン!」という。ぬるくておいしくない。コンビニに入ると若い店員さんも「シェイシェイ(ありがとう)」とは言うものの、ぶっきらぼうだったり、感情がこもっていなかったり。外では茶髪の若者がたむろっている。
【漢字ばかりの世界】ひさしぶりに遅くまで寝た。10:00 行動開始。中国や台湾は漢字だから、なんとなく意味が通じるとガイドブックにあったけれど、全くだめだった。見たことのない漢字もたくさんあるし、食堂のメニュ―は写真もなく、すべて漢字ばかり。適当に指さして何かの麺類をたのむ。出てきたのはじゃじゃ麵みたいなもの?朝から油っこい麺で失敗。そして、イカが出てきた。わさび醤油ならぬ、わさびとんかつソースみたいなものをかける。なんだこりゃ。
中華路をひたすら歩いて歴史資料館に着く。「暫停開放」の札がかかっている。ここまでがんばって歩いてきたのに閉館とは…。愛国西路、博愛路を歩き、開業120年前の南海植物園に着く。親子連れでたくさんの子どもたちであふれていた。絵を描く教室なのか、ハスの花がさく池の前で子どもたちが絵を一生懸命かき、先生が指導している。
【国立教育科学館】疲れて頭がぼーとしてきた。おなかにも力が入らない。そんな時に雨も降ってくるとは…。急いで国立教育科学館に避難。と思ったら、たくさんの台湾の子どもであふれている。「環保電影」「静電演示」「液態気演示」「顕微放映」「星象放映」が今日の活動予定で、大人がいない。周りは子どもだらけ。
【国立博物館】長い行列の先に入場料を払う児童券売機がある。これも漢字ばかりだとよく分からない。小6くらいの男の子が早口で教えてくれる。早口だと何だかおこられている感じがする。「はい、ここに20元入れて。次は全票(大人という意味)を押して、それから一張(1人という意味)を押して。」4Fの喫茶店で鉄観音茶を飲む。雨はやむ気配がない。重慶南路(チョンチンサウスロード)を歩き、台湾総督府の建物や司法院の建物の前を通過し、台北駅前のバスターミナルに着く。ここも漢字ばかりの世界だ。案内の画面が英語の画面になったり漢字だけの画面になったり切り替わるんだけど、英語の画面の時間が短い!何とか英語を話せる人が探して中正国際機場行きのバスに乗車。中華航空の職員だった。ラッキー!
無事に羽田空港に到着。日本に着いてから、おなかがくだっていたのが治らない。というか、日に日に悪くなってくる。国立病院で診察を受けると、大腸炎ということだ。病院からもらった薬を飲んだらすぐに治る。